2012年6月13日水曜日

Wide vs. Narrow Paragraphs: An Eye Tracking Analysis [ D. Beymer et al., 2005]

Wide vs. Narrow Paragraphs: An Eye Tracking Analysis [ D. Beymer et al., 2005] を読みました。IBMの研究所の方の論文で、PC上でテキストを読む際に、そのテキストの幅(パラグラフの幅)が、reading behavior にどのような影響を与えるか、ということについての論文です。
以下、説明の際に i) のように区切って説明していますが、この区切りは私が勝手に考えたもので論文の章などとは直接は対応していません。

i) Introduction

  • 紙上での研究では、パラグラフの幅は狭いほうが良いという研究結果がある。逆に、PCの画面上の場合はパラグラフの幅は広い方が良いという研究もある。結局どっちがいいの?
  • 今回は、アイトラッキングという手法を用いてこれを検証する。
ii) アイトラッキング
  • 人間の視線の動きを計測する装置
  • FixationやSaccadeなどを検出できる。基本的に人が何かを読む際の視線情報は、このFixationとSaccadeが交互に観察される。
    • Fixation: 人はテキストを読む際、250msほどある点を注視し、そして視線を動かす、という動作を繰り返す。この注視する動作のことをFixationという。
    • Saccade: あるFixationから次のFixationに移る間に、素早く視線を動かす動作のこと。
  • 特殊な装置(メガネなど)を体に装着する必要のないリモート型のアイトラッカー(視線検出装置)を使用
  • ブラウザ上でのアクションや視線の動きを自動で計測・解析するツール(WebGazeAnalyzer)を作って使用した
iii) 実験
  • 次の2つのテキストを用意して、それぞれ8人ずつの被験者に読んでもらう
    • A (Wide): 画面の幅の80%(9インチ)で表示されているテキスト
    • B (Narrow): 画面の幅の40%(4.5インチ)で表示されているテキスト
  • テキストを読んだ後には、問題にも答えてもらう
iv) 結果
ざっくりとした結果のみを紹介します。細かい数字を知りたい方は、グラフなどを使ってわかりやすく説明されているので、ぜひ元論文をあたってみてください。
  • テキストを読むのに要した時間と、読まれたテキストの範囲
    • Aの方が読むのに時間がかかっているが、より多くの範囲が読まれている
    • Bは逆に、読むのにかかる時間は短いが、読み飛ばされる箇所も多い
  • 読むスピード
    • Instantaneous measures: 同じ箇所を複数回読んだら、読んだ回数だけ距離をカウント。左から右への視線の動きしかカウントしない。
    • Overall measures: 同じ箇所を複数回読んでも、1度だけ距離をカウント。
    • Instantaneous measuresに関しては7%ほどBの方が早く、Overall measuresに関しても15%ほどBの方が早い
  • Return sweeps
    • Return sweep とは、行の末尾から次の行の頭まで視線を移動させる動きのこと
    • Aの方が平均的にReturn sweepに時間がかかる
    • Aの場合は、return sweepが長くなるので、途中で余分なfixationが入ってしまうことが多い --> ヒストグラムに2つの大きな山
  • Return sweepsに要する時間
    • 上で見たように、1度のreturn sweepに要する時間はAの方が長かった
    • しかし、Bの場合はテキストの幅が狭く、その文高さが高くなっている(=行数が多くなっている)ので、パラグラフ全てのreturn sweepに要する時間を合計すると、トータルではBの方がreturn sweepに時間がかかっている
  • Regressions
    • Regressionはバックジャンプとも呼ばれ、テキストを読んでいる際に前に(左に)戻る視線の動きのこと
    • Regressionは難しい文章を読んでいる際に起こりやすい
    • Aの方が時間あたりにRegressionの起きる割合が多かった
  • Retention
    • テキストを読んでもらった後に実施した問題の平均スコアはBの方が高かった (スコアは3点満点で、B: 1.75 > A: 1.25)
    • テキストを読むのにかかった時間で上記スコアを正規化しても、A: 0.081 points/sec, B: 0191 points/secと有意な差があった

2012年6月10日日曜日

夏季インターンシップ申し込みの季節です

今はちょうど夏季インターンシップの申し込みが盛んに行われている時期です。
私も修士1年なので、今年の夏はどこかの企業に参加してみたいと思い、少しずつ応募し始めています。

修士を卒業した後の進路については、現時点では就職するつもりです。
博士課程に進むのもありだけど、経済的な理由や研究を一生職業にしていくほどの適性が現時点で私にはあるとは思えないのが主な理由です。
修士で研究を進めていくうちに、研究が面白くなってきたらまた考えが揺らぐかもしれませんが。。
就職するとしたら研究職じゃなかったらIT系のエンジニアを考えているので、その方向で今年の夏働ければいいなあと思っています。

現時点で応募した企業はGoogle, 日本Microsoft, DeNAです。
Googleは応募して1週間ちょい立ちますが音沙汰なし(ダメっぽいですねorz)、Microsoftは先程Webテスト受けて今結果待ち、DeNAは今月中に1次面接を受けるっていう感じです。
出来れば長期でそれなりに報酬も出るところに行きたいのでGoogle, Microsoftという順で希望しているのですが、どちらにも引っかからなかったら片っ端から日本の企業受けてどこかに潜り込むつもりです。(DeNAはその日本企業のうちの一つ)

上記の3社のうちMicrosoftとDeNAはWebテストがありましたが、圧倒的にDeNAの方が難しかったです。
難しかったというか、時間が足りなかったというか…。
全然出来なかったんですが、Webテストは通ったところを見ると、あれは飾りなんでしょうか。就活関連の事情は詳しくないのでよくわからないです。